警備業法 第十五条 -警備業務実施の基本原則-

警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たっては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。
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道路工事などでの片側交互通行時に合図を出して車両を停止・進行させたり、建築工事現場に入退場する大型工事車両の後進誘導や旋回誘導をする交通誘導警備員には、法律によって特別に権限を与えられていないので、警察官が行なういわゆる「交通整理」と異なり、「交通誘導」には強制的に車両を停止・進行させたりすることはできない。
警備員には一私人としての権限しかないのである。
交通誘導警備員が出す「停止」の合図は「止まれ」ではなく、「止まってください」という協力依頼の合図である。
よって、交通誘導はいかに相手方に協力をしてもらえるかにかかっている。気持ちよく誘導に協力してもらうためには、交通誘導警備員の出す合図が的確かつわかりやすいことはもちろん、言葉遣いや表情、服装、身だしなみなどにも細心の注意を払い、スムースに協力していただけるようにしなければならない。

そのためには日頃から交通誘導に関する技術と知識の習得に努めなければならない。加えて、コミュニケーション能力の向上を怠ることはできない。
交通誘導警備員はその現場の最前線に位置し、第三者と最も多く接触することが多い「現場の顔」である。その警備員の第一印象でその現場の様子が想像されてしまう。気持ちのよい挨拶と態度、スムースな誘導が行なわれている現場は「よい現場」を評価されるし、逆に粗野な言動や不快な服装の警備員がいる現場は「悪い現場」となってしまう。常に衆人環視の中で業務していることを意識し、無事故を目指して誠実に業務を遂行しなければならない。

警備業の種類

日本における警備業務は多岐に渡るものとなっており、業務内容は様々である。
学校やオフィスビルといった建物などの警備、交通誘導、ボディーガード、金品輸送車の護衛など。
その為、日本の警備業法では業務を大きく4つに分類している。

第一号警備業務

警備業務対象施設(警備を行う施設のこと)における盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務など従来からある施設警備。警備業法第2条5項により機械警備も含む。

第二号警備業務

人若しくは車両の雑踏する場所、又はこれらの通行に危険のある場所における負傷等の事故の発生を警戒し、防止する業務。警備会社によるこの雑踏整理(花火大会や初詣など)や、道路工事中の交通誘導の業務も、一般に知られている。警察の交通整理は信号機の効果と同等の効力となっているが、警備会社における同様の行為はあくまで“誘導”である。
警備業の中で、一般的に一番多い仕事となっている。

第三号警備業務

運搬中の現金、貴金属、美術品等に係る盗難等の事故の発生を警戒し、防止する業務。現金輸送車などの業務。「貴重品輸送警備」、「警送」等とも呼ばれる。核燃料物質などの危険物運搬も行われる。当然のことながら、貨物自動車運送事業(多くの場合は特定貨物自動車運送事業)にあたるため、こちらの許認可も必要となる。

第四号警備業務

一般的に言う要人を取り巻くボディーガードのこと。
人の身体に対する危害の発生を、その身辺において警戒し、防止する業務。また、携帯型発信器を用いた緊急通報サービスも、個人の身体を守ることから4号業務に該当する。

警備会社に携わる際、それぞれの業務においての教育から始まることとなる(新任教育時間30時間)